アラミド繊維の特徴
- アラミド繊維とは
- パラ系アラミド
- メタ系アラミド
- アラミドFRP
アラミド繊維とは
芳香族ポリアミドから合成される有機繊維の総称です。芳香環を高分子の主鎖に持っているため、脂 肪族ポリアミドに分類されるナイロン繊維と比較して剛直な分子構造となります。
分子鎖の構造の違いにより、パラ系とメタ系の2種類に分類されます。
剛直な分子構造により化学的に分解されにくく、耐薬品性、耐熱性、難燃性を持ちます。
同じ重量の鋼鉄の5倍の強度を持ちながら非常に軽量であるため、重量軽減が必要とされる分野で採用されています。
パラ系アラミド
パラ系アラミド繊維は分子鎖が直鎖状となり、芳香環に由来する剛直な分子構造と、分子鎖間の水素結合と分子間力(静電気的な結合)により高次構造を形成し、高い物理強度を発現できます。
機械的強度、耐切創性、振動減衰性を活かした用途で使用されます。
メタ系アラミド
メタ系アラミド繊維は分子鎖が蛇腹状に折れ曲がって配列されており、パラ系と比較して分子間力や水素結合(静電気的な結合)が弱いため、物理強度はポリエステル繊維やナイロン繊維と同等となります。一方で繊維は柔軟性に優れ、高温環境では分子鎖の芳香環が密集した構造をとることで化学的に分解されにくくなるため、耐熱性、難燃性が発現でき、400℃以上の高温でも物理強度を保持できます。
パラ系アラミド繊維と比較し化学的耐性に優れており、耐熱性、難燃性、耐薬品性を活かした用途で使用されます。燃えにくく柔軟性に優れる特性を利用して防火服で採用されています。
アラミドFRP
アラミド繊維で強化された複合材料です。アラミド繊維がもつ強度と耐久性、プラスチックが持つ成形性や軽量性が組み合わさることで強度が要求される用途で使用することができます。
アラミド繊維がもつ高い引張強度、耐衝撃性により、軽量でありながら高強度を発現でき、割れや破損に強い特性を持ちます。また、耐疲労性により繰り返しの荷重に対しても強く、長期間性能を維持できます。
アラミド繊維の耐熱性により、高温環境でも形状や強度を保持できます。
アラミド繊維由来の靭性を持つため、用途としてはアラミドFRPロッドとして橋脚の耐震補強での使用が確立されています。また、光ファイバーケーブルのテンションメンバ、車両や航空機の構造部品にも使用されています。
導電性や電波攪乱の都合によりCFRPが使えない箇所で強度が必要な場合はアラミドFRPが使用されます。